Vol.11庭の冬ごもりに備えて

※ オールアバウトで掲載終了した記事を再編集しました。内容は公開時のものとなります

今年の夏は、連日あんなにも「暑い、暑い」とぼやいていたのに、いつの間にやら暖房機器が恋しくなる季節になりました。植物たちも、そろそろ冬ごもりの支度に取り掛かる時期になります。春からガーデニングを始めたというビギナーの方にとっては、初めての冬越しとなります。「まだまだ先でしょ?」などとのんびり構えていては、後で慌てることになりますよ。準備万端整えて、来るべき冬に備えておきましょう。

植物の耐寒性を知る
冬の寒風に低温、降霜や降雪と、人間だけでなく植物にとっても辛い季節がやってきます。とりわけ寒さに弱い植物、いわゆる「非耐寒性植物(耐寒性のない植物)」にとって、これはまさに死活問題。いまは庭で元気な姿を見せている植物でも、明日急に霜が降りて、あっという間に枯死してしまうかもしれません。
それを防ぐためには、霜よけをしたり鉢上げをして屋内に取り込むなど、枯死しない程度の温度が保てるよう対策を施さなければなりません。
例えば暖地では露地で越冬するメドーセージ(Salvia guaranitica)も、寒冷地では鉢上げが必要ですし、耐寒性の強い植物は積雪などものともしません。

まずはどの植物が耐寒性があり、どの植物が非耐寒性なのかを知っておく必要があるでしょう。 どの程度まで寒さに耐えることができるのか、その耐寒温度は植物によって異なります。購入時のラベルに管理に適した温度が記載されているものもありますが、わからない場合はネットの植物図鑑などを利用して調べてみるとよいでしょう。

ただし、園芸雑誌などでもそうですが、こういった情報は東京で管理した場合を想定して書かれているものが多いので、「耐寒性強」と記載されている植物でも、実際には寒冷地では枯死してしまった……ということもあります。自分が住んでいる地域と、東京との気温差なども考慮する必要があります。

霜害、凍害、雪害を防ぐために
近年、地球温暖化やエルニーニョ、その反動で発生するラニーニャ現象など、いままでの経験では推し測れないような異常気象が各地で起こっています。普段は温暖な気候の土地でも、突如いまだかつてないような積雪に見舞われたり、霜が降りて農作物に大打撃を与えることもあります。庭の植物もまた然りです。

耐寒性の強い宿根草は、地上部の茎葉を落としたり、ロゼッタ状の葉だけを残したりして、露地植えのまま冬を越すことができます。雪の降る地域では、積雪の下に埋もれることもありますが、春になり雪が融けると何事もなかったかのように葉を展開させ始めます。
そんな耐寒性植物でも、根が充分に張っていなかったり根の浅い植物などは、霜で持ち上げられて根が地上部に露出してしまい、枯れてしまうことがあるのです。
こういった事態を防ぐには、マルチングが欠かせません。ガイド記事【冬越し・防寒 寒さはチープに乗り切ろう!】で、いろいろなマルチング材についてご紹介していますので、ご参照ください。

なお、素焼鉢を戸外に置いておくのも要注意です。内部の水分が凍って膨張し、鉢が割れることがあります。使わない鉢はよく洗って、乾燥させてから保管しておきましょう。

また庭木などでは、降り積った雪の重みで枝が折れるといった、雪害が考えられます。日本庭園で立派に仕立てられた松の木などに、「雪吊り」が施されているのをご覧になったことがある方も多いでしょう。これは、雪による枝折れを防ぐためのものですが、素人には難しい作業です。
家庭の庭木では、あらかじめ細い枝や不要な枝を剪定しておいたり、支柱を使って雪囲いするなどして雪害に備えましょう。
枝葉が広がりやすいコニファーは雪の重みで姿形が崩れたりしますが、ガイド記事【緊急、雪対策!】でご紹介したように、縄で巻いておくだけでも被害を防ぐことができますよ。


やり残したことはないですか?
マルチングや雪囲いといった冬ごもり支度に取り掛かったときは、「まだ早いかなぁ?」などと思ったりするものですが、日も短くなって作業時間も限られてきます。「気がついたら、もう師走?」と、後になって慌ててしまわないように、この時期にしておきたい庭仕事を確認しておきましょう。

ガイド記事【十一月の庭仕事】では、草花・菜園・庭木・観葉植物・芝生管理と、この時期の庭仕事についてご紹介しています。冬支度と共に、やり残したことがないか、確認しておきましょう。
また、剪定枝や落ち葉を利用して、自家製堆肥に挑戦してみるのも良いでしょう。秋の夜長のほっこりした時間は、庭の収穫物を使ったクラフトなども楽しいですね。

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