桜に思いを寄せて…

※ オールアバウトで掲載終了した記事を再編集しました。内容は公開時のものとなります。

日本の春を代表する桜、一体どのくらいの種類があるかご存知ですか?実は野生種・園芸品種を合わせると300種以上という、驚くべき数字が出ています。
ニュースなどで耳にする「桜前線」の標準木が「染井吉野」という品種であることはよく知られていますが、桜にそんなにたくさんの種類があるとは、ビックリですね。

染井吉野の他にごく一般的な桜の名称はというと、山桜、枝垂れ桜、八重桜、彼岸桜、寒緋桜などが浮かんできますが、これにも奈良八重、江戸彼岸、琉球寒緋など細かい分類があるようです。

森林総合研究所、多摩森林科学園(HP.新桜入門)では日本中の桜が植えられているとのこと。品種により開花期がずれるため、桜前線通過後でも楽しめそうですね。

さて、桜というと花見・夜桜見物と、大きな公園などにたくさん植えられた桜並木などを思い浮かべがちですが、前述のとおり豊富な品種の中には一般家庭で楽しめるものもあります。
庭に桜の大木…?ではなく、小さな樹形を保ちやすい品種です。代表格の豆桜や、箒状の樹形で場所をとらない天の川などがお勧めです。また、寒桜・寒緋桜は鉢植えに仕立てることもできます。
植付け適期は2月下旬~3月上旬もしくは10月下旬~12月上旬、木が成長を休める(休眠期)落葉後が適しています。植付け方法は、普通の庭木と同様に扱います。

桜は虫がつきやすいのが悩みの種ですが、あまり薬剤は使いたくないもの。毛虫などは捕殺するのが一番ですが、大量発生している場合は風の無い曇りの日に家庭用エアゾルなどを散布します。マスク、長袖長ズボン、ゴム手袋などで完全防備をお忘れなく。

また、「桜切るバカ、梅切らぬバカ」などという言葉がありますが、桜だって樹形を保つためには切らなくてはいけません。腐敗菌などが切り口から入って木を枯らす、ということから出た言葉でしょうが、不要な枝や徒長した枝は切り詰める必要があります。 時期は植付けと同じく、休眠期が適しています。切り口には念のために癒合剤を塗っておくと良いでしょう。

最近、道路に花びらが落ちて美観を損ねるとか、落葉が溜まって大変だとかいう理由で桜の大木が切られる、という事例を耳にします。
散りぎわの美しさ、花びらの舞い散るさま、落ちた花びらを木の枝に挿して遊んだこと、そんな風情とは遠い現実です。
一昔前なら、散った花びらを楽しみ、落ちた葉で芋を焼き、あるいはそのまま土に還り翌年の栄養となったはずなのに…と考えると哀しいものがあります。それだけ人々の心に、余裕が無いということでしょうか。

そんなことに思いを馳せながら桜を見上げると、また一層その美しさ・はかなさに心惹かれるのです。

コメント