※ オールアバウトで掲載終了した記事を再編集しました。内容は公開時のものとなります。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は各地に大きな爪痕を残しました。被災地では瓦礫の撤去は少しずつ進んでいるものの、今なお不自由な生活を強いられている方がたくさんおられます。
そんな中、園芸業者や各種メディアの後方支援を得て、被災地に花のプランターを送ったり、ナーセリーから花苗を提供してもらって実際に花壇を作ったり、野菜苗を植えたりといった活動が始まっています。今回は、ガーデナーの私たちにできる、復興支援についてご紹介します。
色のない世界からの脱却
震災当初は、みんな今日を生きるのに必死でした。お水は、ご飯はあるのか? 寒さをしのげるのか? 家族はどこへいったのか?言い知れぬ不安な日々を繰り返すのは、津波で押し流され、色を失った世界でした。被災地である岩手県大船渡市で活動しているハンギングバスケットマスターの元には、震災当初白い花だけでバスケットを作って欲しいという依頼が多かったとか……。
普段ならパンジー・ビオラが彩る春 |
このころやっと東北にも遅い春が訪れ、瓦礫の中で咲き誇る桜が、多くの人を勇気づけました。また、被災地に華道家の假屋崎省吾氏が花を寄贈したところ、故人に供える花すらも無かった人たちに、大変喜ばれたとの報道も目にしました。
人の心を癒す、花と緑
自分たちで花苗を植えるのも ストレス解消に |
初めての活動は、震災からまだ1ヶ月が経過したばかりの頃。
岩手県陸前高田市にて、ボランティアによる花のプランター作成でした。その後、2ヶ月が経過した同市で、野菜苗と花苗の植栽を行いました。はじめは遠巻きに見ていただけの被災者の方々も、声掛けをして参加してもらうと少しずつ声が、そして笑顔が出るようになってきたのです。花や緑は眺めているだけでも癒されるものですが、実際に手を動かして植物や土に触れること、植物を育むという行為の方が、その効果が大きいように感じられます。
そして震災から3ヶ月、被災地岩手では「希望の花いわて 3.11プロジェクト」が本格スタートしました。花を生業にしている人、園芸資材を取り扱っている企業、庭を楽しむガーデナーなどが集まった、花と緑で復興支援をするボランティア団体です。
いま、できることを
ガイドもお手伝いさせていただいている「希望の花いわて 3.11」は、北海道や宮城など県をまたいで、その趣旨に賛同された方々が参加しています。このようなボランティア団体による活動の他にも、株分け苗や園芸グッズを持ち寄って園芸バザーを行い、その収益金を義援金にするという活動もありました。また、個人で自宅のお庭を公開する「オープンガーデン」をチャリティーで行い、その募金を義援金にするという方もいます。今回取り上げたのは、ガイドの住む岩手県での様子ですが、このような活動は、岩手だけでなく全国各地ではじまっています。皆が、今の自分にできることをできる範囲で活動し、支援の形にしているのです。
あの日、凍えるような寒さに耐えた日々が嘘のように、季節は夏を迎えています。そして年があけて再び春が訪れたときに、みんなが晴れやかな気持ちで桜の花見が楽しめるよう祈りつつ、私も微力ながら支援を続けていきたいと思っています。
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