東京ガーデンジュエリー2006

※ オールアバウトで掲載終了した記事を再編集しました。内容は公開時のものとなります。

「東京ガーデンジュエリー」とは2003年の日比谷公園開園100年記念事業を承継する形で企画されたイベントで、日比谷公園と丸の内仲通りを会場に市民や団体、企業が協力して街ぐるみで行うガーデニングショーです。
プレクトランサスと球根ベゴニア
だけで作られたハンギング
今年の「東京ガーデンジュエリー」は「日比谷公園ガーデニングショー2006」と「丸の内仲通りガーデニングショー2006」からなり、それぞれ『気持ち晴れやかに ここにしかない花もある』、『伝統ある街づくり・花カフェ仲通り』をテーマに、2006年10月20日(金)~29日(日)の10日間の開催となりました。今回は、そのイベントの様子をお伝えします!

丸の内仲通りガーデニングショー2006

工事現場に壁面緑化で緑を
今年の「丸の内仲通りガーデニングショー」は、ちょうど会場となる丸の内仲通りで歩道工事などが行われており、歩道スペースを使っての展示作品は昨年に比べると少なくなりました。そのかわり、壁面緑化パネルを使ってなされた展示が、味気ない工事現場を見事に覆い隠していました。
壁面緑化に関しては、街に緑を増やし都市景観を整えるといった面だけでなく、都市におけるヒートアイランド現象の対策の一つとしてもその効果を期待されています。今回は壁面緑化に携わるメーカーの協賛による、8作品が展示されていました。

次に歩道スペースを使ってのコンテストガーデンの展示を見ていきましょう。 ここではガイドが注目したところを中心にご紹介します。

まずはガーデンジュエリー大賞を受賞した、「竹のポケット」という作品です。うっかりすると「ただの竹垣?」と通り過ぎてしまいそうですが、タイトルにある「竹のポケット」を覗いてみると……。こんなに可愛い「秋」が、隠れていました!

一見するとただの竹垣、でも実は……

 
竹のポケットの中には、可愛い秋がぎっしり!

次は銅賞を受賞した、「都市と緑のバランス~丸の内ポケットオアシス~」という作品です。全体的には和テイストの庭ですが、目を惹いたのはやはり屋根の上の緑ですね。

和テイストのオアシス

最後に今年のモデルガーデンから、吉谷桂子氏デザインのメインガーデンです。 外側だけ見ると突然街中に茫々たる草っぱらが出現したかのようですが、中には実に様々な植物が植えられていました。このあたりの植栽の妙は、「第7回国際バラとガーデニングショウ」のシンボルガーデン『秘密の花園』で見せた手法に通じるところがあるような気がします。

 

日比谷公園ガーデニングショー2006

日比谷公園ガーデニングショーでは、ガーデン、ベランダガーデン、コンテナガーデン、ハンギングバスケットと4つの部門に分かれて作品展示があり、今年もそれぞれコンテストにより金銀銅賞、奨励賞、都知事賞などが選ばれました。

昨年と異なった点は、展示作品の配置です。昨年はハンギングバスケットとコンテナガーデンがズラリと四列に並べられていたのに対し、今年はコンテナガーデンは円を描くように並べられ、ハンギング部門も壁の配置を途中で区切るなどくふうが伺えました。お陰で、歩く距離は同じくらいだったと思うのですが、「展示を見るのに歩き疲れた」という感じはしませんでした。

また、今年は芝生公園に入る前後にガーデン展示があったので、イベントを知らずに公園を訪れた人にも「あ、ガーデニングショーをやっているんだな」という感じがより明確に伝わったのではないかと思います。
それでは、次項から各部門でガイドが注目した作品をご紹介します。

ベランダガーデン部門

下は奨励賞を受賞した、「あきらめないで!土がなくても子(野菜)は育つ」と題された都立園芸高等学校の作品です。画像ではちょっとわかりにくいのですが、樋状の植栽スペースを雛壇型に設置し、そこにパセリやサラダ菜といった野菜が植えられています。
水やりには、潅水装置が設置されていました。また壁面にもペットボトルを利用したハンギングが掛けられ、パセリやナスタチウムなどが植えられていました。

 

次は銀賞を受賞した、(株)昭和造園による「和の癒しに」と題された作品。白壁に笹竹、下草の玉竜など、確かに全体では「和」ですが、ピンコロを使ったレイズドベッドやアプローチ、そして蹲(つくばい)から流れる水を受けるレンガの水路などモダンを感じさせ、今の時代に抵抗無く受け入れられる「和」に仕上がっていると思いました。

 



コンテナガーデン部門
コンテナ部門でまず目に入ったのは、「夕焼けこやけ」と題された右の作品です。第一印象は「これ、何?」、そしてよくよく見て「なるほど!」と納得。
下の拡大画像を見ていただければ、寄せ植えの鉢がポリ鉢のリサイクルでできているとわかりますが、こういう作品を見ると、つくづく「アイディアって無限だなぁ」と感じます。


鉢を鉢に、というこのアイディア!

次も受賞作ではないのですが、「スモールボックスガーデン」と題された作品です。
木箱を用いた、いわゆる箱庭風の作品ですが、アプローチが迷路になっていて面白いなと感じました。子どもと一緒にチャレンジするガーデニングとして、大きさ的にもちょうど良いのではないでしょうか。
こんなふうに小さな庭をお子さんと一緒に作ってみては?




「Vegetable garden」と題された作品は、一輪車をコンテナにしています。
こうしてみると、どんなものでも寄せ植えの器(コンテナ)になる可能性を秘めているのだなと感じました。要は、使い方次第ということでしょう。

一輪車の上は収穫物?いえいえ植わっているのです

ハンギング部門
今年もズラリと揃った力作のハンギングバスケットですが、昨年に比べて「粒より」となった感がありました。こちらのバスケット展では、「国際バラとガーデニングショウ」のように額装したりオーナメントやアクセサリーで意匠を凝らした作品は少なく、より身近なハンギングバスケットを見ることができます。 そんな作品群の中から、都知事賞、金賞、銀賞の受賞作品をご紹介しましょう。

都知事賞受賞作品「秋、恋し」

 
金賞受賞作品「秋思」


銀賞受賞作品「秋風の中で…」

 
銀賞受賞作品「赤いバルコニー」

 
ガーデン部門
ガーデン部門は、縦3m×横4mのスペースにテーマに沿った庭を作り上げるものです。力作ぞろいの中、今年都知事賞に輝いたのは「少年時代…秋」と題された華園ガーデニング工房の作品。都会の中にいながら、こんな少年時代の頃を思い起こさせるようなどこか懐かしい庭で過ごせるというのは、なかなか贅沢なことではないでしょうか。

金賞受賞は「都会の庭-月見のテラス」、こちらは昨年の金賞受賞作「森の恵み 大地の収穫」を手がけた設計・カサベルデ、施工・アゴラ造園(株)による作品になります。都会のコンクリートジャングルの中のオアシスといった感じの作品ですね。

銀賞受賞の「秋のほほえみの庭」は、来場者の人気投票では第一位に輝いた作品です。
最後は、銅賞受賞の「森から海へ」と題された作品。都立農林高校林業科の学生による作品で、限られたスペースを「高さ」を利用することでダイナミックに演出していました。植栽の入れ方には少々難を感じる部分もありましたが、若々しく、力強い作品だなぁと思いました。

都知事賞受賞作品「少年時代…秋」


 
(株)M.I.P 中村和子、神宝苑 小宮正による
「秋のほほえみの庭」


都会のビルの谷間、
こんな庭で月を見ながら一献というのも粋

 
都立農林高校林業科による「森から海へ」



以上、駆け足でイベントの様子をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。このようなガーデニングイベントは、じっくりと時間をかけて見ればみるほど、自宅の庭に活かせるようなヒントが必ず見つかるはずです。

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